前回のコラムを書いたあと、自分がメイン設計者で仕掛かっていたシステム開発の仕事を持ったまま、東京出張(2回)や、宮崎の両親の世話の為の帰国や、シンガポール出張、そして、ずっと前から予定が入っていた家族とのスペイン(Madrid)旅行や、お客様筋とのベトナム(Danang, Hoian)旅行をバタバタとこなしていたら、あっと言うまに10月(2018年)になってしまった。毎週日曜日のバンド練習は、ほぼほぼコンスタントにやっていたが、流石に、書いても書かなくても、誰にも叱られないこのコラムは、先延ばし、先延ばしで、5ヶ月間も経ってしまった。ちょっと前にも、地元のフリー月刊誌に「何か書いてくださいよ」などと頼まれたが、そんなノルマを負ってしまったら、心の負担で大変だったことだろう。10月に入り仕事も落ち着いて来て、ノホホンとしたいところだが、最近の報道を見ていて「こんなことでイイのか?!(怒)」とロック魂が疼いてきた。お客様筋の批判になってしまい、大きな地雷を踏んでしまう可能性もあるが、ここはひとつ、同じ日本人の良心を信じて、早速本題に入って行こう。
米中間の貿易問題のみならず、ウイグルの人権問題や産業スパイ摘発等々、実質的に米中戦争状態の今、親中派の元総理大臣や、日本を代表する大企業のトップ達(経団連)が、ノコノコと「北京詣で」をしているらしい。マレーシア、パキスタン、そしてモルディブで「ノー」を突きつけられ、形勢不利になってきた「一帯一路」を日本国や日系企業が支援して、一儲けしようとでも思っているのか、ナイーブにも先方様の言う「日中友好」を信じているのか、はたまた、そこには深謀遠慮、深い深いニッポンの戦略があっての行動なのか、上辺を撫でているだけの薄っぺらな報道ではわからない。「アナタとは違うんです」の元総理大臣や、居丈高な権威に弱そうな財界人達の思惑は不明だが、ひとつ確実に言えることは「チャイナはかなり困っている」ということだ。そりゃ、大得意先のアメリカから、輸出品全てに高い関税がかけられ、外資もサプライチェーンからチャイナを外さざるを得ない状態になれば、軍拡を支えてきた高度成長も実質止まるし、カネがまわらければ国内の情勢も不穏当化必至だ。ポスターに墨汁かけられたり、退役軍人が緩いデモをやっている程度ならまだ良いが、現在の状態が長く続けば、指導層にも大きな変化が起きてくる確率は高くなる。世界各国(親中だったドイツやオーストラリアすら)がチャイナを警戒し距離を置き出したなか、ニッポンの財界のエライ人達は、「これは我社のビジネスにとって、千載一遇のチャンスだ!」と思っている可能性があるのだ。安倍首相をトップに、高度な戦略のうえで財界人とのチームジャパンが、この情勢をフルに利用して日本の国益を勝ち取るのであれば万々歳だが、外交やビジネスは性悪説を基本とすべきと思っている私は、そこまで楽観視する気にはなれない。
そもそも、ビジネス、いや、経団連(日本経済団体連合会)等の名前のなかに出てくる「経済」って何が目的なんだろう?一発当てて大儲けしたら月周回旅行者へ行ったり、高価なバイオリンを買うことか?いやいや。。。大成功した人を揶揄するのは、ひがみ根性丸出しで、みっともないからやめておこう。真面目に言うと、大雑把だが、人々に役立つモノやサービスを提供し、その対価を頂き、そこから自分も他者の提供するモノやサービスを購入する。この繰り返し、要は、日々「人々の生活を豊かにするため」に皆が働くことが基本の筈だ。言い換えれば、人々を苦しめるようなことを目的とした仕事をしている人達は、たとえ有名大企業でも「経済(経世済民)」に反する行為をしていることになる。その文脈で言うと、売上高や利益を大きくすることが、必ずしも「良いことしている」とは限らないのだ。
2018年7月26日、アメリカのペンス副大統領がある国際会議で、「中国共産党により数百万人単位のウイグル人(イスラム教徒)が弾圧を受けている」と公式に言及した。 以前からネットでは「日本ウイグル協会」などの発表や、専門家、ジャーナリストの報告で、「周知の事実」であったが、なぜか過去のナチスの蛮行にも匹敵するような大問題が大手メディアでは目立たなかった。10月4日、ペンス副大統領は更にチャイナへ宣戦布告(冷戦だが)ともいえる演説を行った。内容はかなり過激だ。基本は、チャイナ共産党(中共)敵視政策で、スパイや選挙介入の全容を明らかにし、中共の邪悪本質も暴き、貿易戦では中共包囲網を強め、米国民一致団結し軍事挑発に備える。まさに、本気モードのチャイナ潰しだ。 現在の超軍事大国であり、他国への干渉やスパイ活動なんかもヌケヌケとやっている、所謂ジャイアン的存在のアメリカが、自分の都合だけで他国を敵視し潰しにかかるってことが、本当に許されて良いのかという疑問もある。が、しかし、相手はジャイアンやブタゴリラより更にルール無用の盗人体質で、他民族の人権など露程も気にせず非人間的行為の限りを尽くしている筋金入りの軍団である(オーバーな表現ではない)。スーパーパワーのアメリカが、ナチスの台頭を止められなかった歴史を繰り返したら、歴史に断罪されることになる。というより、「これ以上チャイナを大きくさせてしまったら、自分達にとっても、取り返しがつかないことになる」と、正常な判断が出来る政治家が現れただけのことなのだろう(関係ないが、映画でのジャイアンは、テレビと比べ良い奴だった)。
こんな世界情勢のさなか、我がニッポンの財界人様達は、「何かお困りでしたら、お手伝いしまっせ」とばかりに、揉み手をして北京を訪問しているのだろうか。 同盟国は「あの悪党だけは許さん、絶対叩き潰す!」と宣言しているのに。。。加えて、チャイナ公船が尖閣諸島沖で領海侵犯したり、先方の依頼で温泉開発のために地質調査をしていた日本人を不当に逮捕したり、明確な敵対行為をしている相手に対して、「是非、当社にご発注を!」などと愛想笑いをうかべて媚びているのだろうか。そもそもチャイナの欲しいのは、日本からのカネだ。彼らに日系企業にプロジェクトを発注するメリットはない。債権回収もおぼつかない途上国にカネを貸し、チャイナの企業がプロジェクトを受注し、途上国はまったく潤わず、挙げ句の果ては、借金のカタに途上国から港などのインフラを取り上げて、軍事拠点とするビジネスモデルは、もう世界中でバレバレだ。その悪行の元手をAIIB(Asian Infrastructure Investment Bank)なる査定の甘いガバナンスが不透明なチャイナ主導の銀行で調達するのだ。「日本がAIIBに出資すれば、なにか美味しい思いが出来るかもしれない」と、国と企業がつるんでチャイナ詣でをしているのならば、必ず悪行に手を貸すことになるで、国も企業も、自らの名誉のためにも熟慮の必要がある。
新疆ウイグル自治区では、中共に反抗的な者、ウイグル語を使う者はテロリストとして扱われ、収監され、拷問を受け、改宗(豚肉食と飲酒も強要)を迫られ、臓器を取り売られ、焼かれ(ムスリムには火葬の習慣はない)埋められていると、日本ウイグル連盟のトゥール・ムハメット氏は発信している。チャイナは、「あれは職業スキル教育訓練センターだ」と嘯き、もちろん、他国による実態の査察など受ける気はサラサラない。ニッポンの財界人は、そんな相手とも商売したいのだろうか?おカネになるなら、中共が国内(厳密には外国の土地だ)でやっている民族浄化など「小さなことだと」目を瞑ることが出来るのだろうか?かつては、日本のODAや投資がチャイナを富ませ、豊かになれば自然と自由化の方向に国が開かれて行くと信じられていた。しかし、結果はどうであったか?中共体制はそのままで、大きくなった経済を背景に、一党独裁の巨大な軍事国家が出来てしまい、世界中に迷惑を振りまいている。そして、世界中がそのことに危機感を抱きだしたのが今現在だ。今月末に我らが安倍首相が訪中し習近平氏と会うらしい。もう任期も最後の三年なのだから、歴史に名を残す宰相となりたければ、口先だけの「友好」などは言わず、是非とも人権問題を話題にあげて欲しい(スウエーデンみたいにやれとまでは言わない)。もし、中共に(言葉は悪いが)丸め込まれて帰ってくるようだったら、日本の野党も「モリカケ」などに固執せず、堂々と「人権第一の外交をセヨ!」と政権に対峙すれば少しは支持率も上がろうというものだ。
数百万のウイグル人達が収容されているとされる、チャイナ共産党の「再教育」キャンプ施設。近い将来、中共崩壊で実態が明らかになったとき、無実の人達を監視するカメラも、売買目的の摘出臓器運搬設備も、拷問の果てに亡くなった人達の遺体処理の焼却施設も、「調べてみたら、すべて日本製でした」なんてことになったら、それこそ歴史に断罪されるしかない。いやいや、歴史になる前に外国政府からは、「中共と取引していたこれらの企業には制裁をかけよう」となり、民間レベルでは、「こんな企業の製品はボイコットしよう!」となるだろう。経団連を中心とした日本の大企業には、ビジネス(カネ儲け)を重視するあまり、大きな過ちを犯してしまわぬよう、是非とも、一旦立ち止まって考えて欲しいものだ。
(№104. 経団連様、チャイナにナニしに行くの? おわり)