№100. コラム第100回記念「孫たちのための歴史戦」


地震や災害から逃れようと、30代後半に一家で日本を離れ、海外に暮らすようになって、気持ち的にイチバン変化したのは「もっと日本と日本を取り巻く世界のことを知らないとヤバイ」と思いはじめたことだろうか。マレーシアでは、エアアジアのおかげで格安料金で旅ができる。近隣諸国では、タイ、シンガポール、カンボジア、インドネシア、ベトナム、ラオス、台湾、ネパールなどに行ってみた。また、他国で暮らす我が子を訪ねてカナダ、イギリス、スゥエーデンなども旅行した。外国を旅して帰ってくる度に思うことは「その国の歴史を勉強したい、そして、日本の歴史を外国人に説明できるようになりたい」であった。年齢的な心情の変化もあるだろうが、海外暮らしや数回の海外旅行が、私の中の日本人のアイデンティティを刺激しているのは事実だ。そんな中、海外に居る日本人としてイチバン辛いのは、日本や日本人のことを悪く誤解されることだ。特に近年激しさを増してきたチャイナ&コリア、そして、あろうことか日本人も含んでの反日運動だ。2015年の日韓合意後のたび重なる慰安婦像設置のように、国家間の約束を反故にしてまで、捏造記事から作り上げたファンタジーを声高に叫ぶ国があるのも現実。こんなデマを世界中に流布し、日本を侮辱することを放置していたら、国際結婚している我が子や孫の世代に禍根を残すことは必至だ。仮に自分に関係なくとも、事実でないことで他者を貶めるような行為は人として看過できない。いや、理屈はどうだってイイ、単純に胸糞悪いからだが、今回久々に、サボっていたコラムを更新することにした。


日本で生活していた頃は、現代日本の豊かな環境が自然過ぎて、なにも自覚せず感謝もせずにノホホンと生きていた。お恥ずかしい話だが、所謂「歴史認識」なども、特に意識する対象でもなく、今から思えばカギカッコ付きの「平和」も、空気や水と同じように(これも贅沢な話だが)アタリマエのこととして享受していた。そんなボンクラ能天気状態なので、当然「祖国日本」とか「日本人の誇り」などといったことに思いを馳せることもなく、世界中の人達は、たとえ宗教や人種が違っても、基本は自分と同じで価値観で生きているとさえ思っていた。もちろん、先の大戦に関しても、ひたすら「日本は世界に対して悪いことをした」とのステレオタイプの認識しかなった。ただただ無知だった、と言ってしまえば身も蓋もないが、今のようなネット環境もなく、憲法遵守で「平和を愛する諸国民の公正と信義信頼して」生きてきたのだから、外国に謝罪しろと言われれば、誠意をもってあやまるべきだと思って来たし、補償しろと言われれば、すみませんでしたと、おカネを出すのは当たり前だとさえ思っていた。一部の書籍は別として、テレビでも、学校の教科書でも、「日本は全然悪くないんだ!我々が白人支配を終わせ、アジア各国の独立を勝ち取るために戦ったんだ!」なんて、言ってくれなかったし、書いてくれていなかった。そんなことより、毎日忙しく働いていなければ、ごはんも食べられなくなるし、寝るところも失う。正直、外国から日本が因縁つけられようが、祖先が侮辱されようが、自分の生活にはあまり関係ないことであった。


1999年3月にマレーシアで暮らし始めたころ、「東南アジアというところは、色々な細かいことを気にしなくても良いのだな」と、強く感じていた。当時の私からみた現地の人達は、清潔度もマナーもあまり気にしない、言動も時間も大雑把、基本自分中心、プチ傍若無人で、若干嘘つき、であった。。。一方、日本人は清潔で、正確で、慎しみ深く、そして正直。。。マレーシアの生活に慣れた今にして思うと、日本では随分細かいことに気を遣って生きていた。まあ、それ自体は悪いことでも恥ずべきことでもないが、典型的な日本人像は、悪意のある外国の人からすると若干異なって見える。相手を信頼し過ぎ、相手の顔色を見過ぎ、馬鹿正直、愚直で騙しやすい、かなり無防備、といったひ弱な印象を与えてしまうのだ。一言で云ってしまえば「ナイーブな国民性」だ。このナイーブさに限っていえば、おそらく、戦後に我々が身につけてしまったものだろう。自国の防衛を外国に委ね、カギカッコ付きの「平和」に安住しているうちに、本来、野生であった動物が、動物園の檻の中で飼い慣らされてしまったようなものだ。自存自衛と大東亜の解放をを掲げて戦った日本人とはちょっと違うそのひ弱さ、自分に直接関係ない問題は避けて通る事なかれ主義、「戦後日本人は変わってしまった」と、嘆いていた渡部昇一氏や、大前研一氏の言いたいことが、少し分かって来たような気がした。


ナイーブな日本人であった自分も、海外暮らしが長くなり、日本の地上波テレビなども観なくなり、情報ソースがネットと書籍中心となる。ネットや書籍には、イデオロギー的に偏ったものも多く玉石混淆だが選択肢は豊富だ。単なる善と悪という構図ではないが、右も左も、反日もいれば親日もいる。情報が多いので全体的には自然と両論併記となるが、殆どの人たちは自分の意見と合致する情報が心地良いので、反対意見はあまり見ない筈だ。こんな情報環境のなかで、ある日「歴史戦(History Wars)」という言葉を知った。この戦いを仕掛ける側ではなく、仕掛けられて防戦する側からの情報だった。


空中戦や白兵戦という言葉なら簡単に想像できるが、「歴史戦」という言葉を初めて聞いたとき、直感的に意味が理解できなかった。「歴史戦」とは、自国の利益および正当化のために、過去を歪曲したり、相手を貶めるたりすることだ。日本が仕掛けられている事案で有名なところでは、所謂「従軍慰安婦」、所謂「南京大虐殺」、所謂「靖国参拝問題」などがある。チャイナやコリアは「日本から被害を被ったので賠償金を出せ」、「極悪日本をやっつけた我党は正しい」、「敵は我々政権ではなく日本だ」と、恐喝的行為、詐欺的行為、そして、論点のすり替えと、歴史戦の成果を最大限に活用している。


「歴史戦」のもう一方の定義と言って良いと思うが、自国にとって不都合な真実を徹底的に隠すことだ。チャイナではグーグルが使えないことは有名だが、NHK海外放送のニュースだって、都合の悪い部分は瞬時に画面が真っ暗になるくらい徹底した情報統制が敷かれてる。「文化大革命」、「大流竄(長征)」、「通州事件」、「天安門事件(六四天安門事件)」、「チベット民族浄化」、「ウイグル弾圧」、「東トルキスタン核実験」、「南モンゴル侵略」、「劉暁波ノーベル平和賞受賞」なんてキーワードはご法度。コリアにとっての「ライダイハン」もそうだが、自国民には極力不都合な真実は伝えられない。しかし、遠い遠い昔のことならともかく、多角的な情報が残っている近現代史まで、自国に都合よく強引に書き換えたり隠蔽しておいて、日本に対して「歴史を直視せよ。歴史を忘れた民族に未来はない!」などと、ぬけぬけと強弁できる傲慢さはまったく理解の範囲外だ。傲岸不遜という意味では中華思想は偉大だ。ゲッベルス(ナチス)の「嘘も百回言えば真実となる」を国を挙げ実践しているワケだ。落ちてたお財布を交番に届けることがアタリマエの日本人には、千年経っても到達不能な領域ではないか。


この「歴史戦」を日本の立場から見れば「中共や朝鮮半島の国民が、反日(教育)や侮日を政治利用し、カネをせしめる、或いは、華夷秩序なる妄想を確認し悦に入るためのプロパガンダ運動」との戦いだ。もちろん、相手の指摘が正しいことならば謙虚に対応すべきだが、根拠なき言いがかり、悪意を持った誹謗中傷には、毅然として立ち向かわなければならない。この場合、沈黙は黙認、つまりは肯定、相手の思う壺だ。当然のことだが、降りかかる火の粉は払わねばならぬ。「歴史戦の主戦場は国連や外国のマスコミ」だと言われている。加えて、コリア、アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパ等、各国の地方自治体も、中韓系地元民による「少女像設置」などで侵食されはじめている。このような状態に、我々はどう対処すればよいのだろうか。


実は「歴史戦」への個人参戦は簡単だ。まず国内では、捏造の大元でもあり偏向報道を繰り返す「敵の味方新聞」の解約は基本中の基本。民放テレビ・ラジオの場合も、偏向番組を放送している局ではなく、そのスポンサー企業に対して「そのような番組をサポートするのは如何なものか」と、問い合わせ窓口にメールを送ることで、意思表示が出来る(製品不売運動などは論外、ただ自分が買わなければよい)。もし、あなたが海外に住んでいて、近くに「慰安婦像」のようなものが建ちそうな状況であれば、速攻で日本大使館や領事館への意見書を提出しよう。なかには、事なかれ主義の大使館員も居るだろうから、うやむやにされるようであれば外務省の国民の皆様からの御意見などにメッセージを送ると良い(幸いマレーシアでは反日的な圧力を受けたことはない)。その他、このページのようにネットによる情報発信などもあるが、如何せん影響力が少なさ過ぎるし、けっこう手間もかかる。もし、ちょっとはカネはあるがヒマが無いという方であれば、なでしこアクションテキサス親父我那覇真子さん杉田水脈さんチャンネル桜といった、バリバリ活動している個人や団体に寄付をして、その活動を支えるのが効果的だ(ここに挙げたリンクは、たとえばの話、寄付先は自身で探し、よ〜く吟味してね!)。


正直言って、特定アジア相手の「歴史戦」対応はとても非生産的な消耗戦だ。まして、身内である筈の日本人の一部が、積極的に日本を貶めているような状況は情けなくも哀しい。出来れば、誰だってそんなモンスタークレイマーや、魂を売った輩達に関わりたくないのが本音だ。しかし、「奴らの嘘はいつかはバレる、お天道様が見てらっしゃるから」などとコトを放置しておけば、孫の世代が大人になった頃には、その嘘が立派な歴史になってしまっている可能性もありうる。自分だけでなく、祖先や子孫まで貶められて、黙っているワケにはいかない。既に多くの同胞達が声をあげているのだから、微力でもよいので参戦しよう。戦うためには、まず実態を知ることが大切だ。早速ネットや産経新聞等で酷い現状を把握してほしい。そして、もし、これじゃやっぱマズイなと思ったら、合法的ならどんな方法でも良いので、自分に出来る対応を開始しよう。此の期に及んで未だ「話し合いで解決を!」なんて寝ぼけたことを言っていたら、それは敵の思う壺だ。「我々は自身の犯した罪は償うが、捏造や思い込みの濡れ衣を晴らすためには、断固として戦う意思がある」この表明こそが、最大のカウンター攻撃なのだ。


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【余談】
このコラム集のアクセス記録をみると、以前は、多少、チャイナやコリアからのアクセスもあったようだ。しかし、今回のコラムの内容(キーワード)で、少なくともチャイナからは、今後完全にブロックされるだろう。まあ、どうせブロックされるなら、嫌われついでに、敵にとって更に不都合なページにしておこう。興味のある方は以下のサイトを覗いてみるとよい。内容に賛否両論はあるとは思うが、NHKや朝日新聞の論調とは違った主張を確認することは、自分で考える材料にはなる。歴史を忘れた民族に未来はないのだから、こんな角度からも歴史を直視しようではないか。

天安門事件通州事件文化大革命大流竄(長征)劉暁波チベット民族浄化ウイグル弾圧
東トルキスタン核実験南モンゴル侵略ライダイハン光州事件従軍慰安婦南京大虐殺


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年末年始の更新なので、コラムの内容とは関係ないが、2017年中に読んだ本をリストアップしておこうと思う。


【[恒例]2017年読書記録】(2017/12/31現在) ギリギリ目標(100冊)達成!


1.[「東京裁判」を読む/半藤一利, 保阪正康, 井上亮]
2.[原発・正力・CIA(機密文書で読む昭和裏面史)/有馬哲夫]
3.[イーハトーボの劇列車/井上ひさし]
4.[神去なあなあ日常/三浦しをん]
5.[サイゴンから来た妻と娘/近藤紘一]
6.[大直言/青山繁晴、百田尚樹]
7.[日本の武器で滅びる中華人民共和国/兵頭二十八]
8.[日本と台湾-なぜ、両国は運命共同体なのか/加瀬英明]
9.[敵/筒井康隆]
10.[知らないと恥をかく世界の大問題7/池上彰]
11.[約束の海/山崎豊子]
12.[逆説の日本史3(古代言霊編-平安建都と万葉集の謎)/井沢元彦]
13.[桜ハウス/藤堂志津子]
14.[戦場の黄色いタンポポ/橋田信介](再読)
15.[春の雪(豊饒の海 第一巻)/三島由紀夫]
16.[蛍川・泥の河/宮本輝] 17.[奔馬(豊饒の海 第二巻)/三島由紀夫]
18.[暁の寺(豊饒の海 第三巻)/三島由紀夫]
19.[天人五衰(豊饒の海 第四巻)/三島由紀夫]
20.[太平洋の奇跡〜フォックスと呼ばれた男〜/大石直紀]
21.[グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた/辻野晃一郎]
22.[ローマ人の物語 08 -ユリウス・カエサル ルビコン以前〔上〕-/塩野七生]
23.[ヒゲのウヰスキー誕生す/川又一英]
24.[照柿(上)/高村薫](再読)
25.[照柿(下)/高村薫](再読)
26.[闇の子供たち/梁石日]
27.[虹の谷の五月(上)/船戸与一]
28.[虹の谷の五月(下)/船戸与一]
29.[ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎]
30.[プロレス 悪夢の10年を問う/別冊宝島編集部]
31.[ジャイロスコープ/伊坂幸太郎]
32.[なぜ子供のままの大人が増えたのか/曽野綾子]
33.[夜の明けるまで(深川澪通り木戸番小屋)/北原亞以子]
34.[聞き屋与平―江戸夜咄草/宇江佐真理]
35.[冬のオペラ/北村薫]
36.[イノセント・ゲリラの祝祭(上)/海堂尊]
37.[イノセント・ゲリラの祝祭(下)/海堂尊]
38.[くっすん大黒/町田康]
39.[僕はいかにして指揮者になったのか/佐渡裕]
40.[バイオリニストは目が赤い/鶴我裕子]
41.[脳男/首藤瓜於]
42.[カルロス・ゴーンは日産をいかにして変えたか/財部誠一]
43.[蝦夷地別件(上)/船戸与一]
44.[蝦夷地別件(中)/船戸与一]
45.[蝦夷地別件(下)/船戸与一]
46.[ゴッホは欺く(上)/ジェフリー アーチャー]
47.[ゴッホは欺く(下)/ジェフリー アーチャー]
48.[審問(上)/パトリシア・コーンウェル]
49.[審問(下)/パトリシア・コーンウェル]
50.[魂の岸辺/北方謙三]
51.[心はあなたのもとに/村上龍]
52.[希望の国のエクソダス/村上龍]
53.[ザ・ハウス・オブ・トヨタ 自動車王豊田一族の百五十年(下)/佐藤正明]
54.[ザ・ハウス・オブ・トヨタ 自動車王豊田一族の百五十年(上)/佐藤正明]
55.[密約-外務省機密漏洩事件/澤地久枝]
56.[精神科ER 鍵のない診察室/備瀬哲弘]
57.[花ざかりの森・憂国―自選短編集/三島由紀夫]
58.[ビタミンF/重松清]
59.[儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇/ケントギルバート]
60.[赤い韓国 危機を招く半島の真実/櫻井よしこ・呉善花]
61.[日本経済を滅ぼす「高学歴社員」という病/上念司]
62.[戦争と平和/百田尚樹]
63.[超・反日 北朝鮮化する韓国/呉善花]
64.[ジーン・ワルツ/海堂尊]
65.[日本人だけが知らない「本当の世界史」/倉山満]
66.[日米同盟のリアリズム/小川和久]
67.[コミンテルンの謀略と日本の敗戦/江崎道朗]
68.[歴史に「何を」学ぶのか/半藤一利]
69.[人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊/井上智洋]
70.[空港にて/村上龍]
71.[AI(人工知能)まるわかり/古明地正俊,長谷佳明]
72.[IoTまるわかり/三菱総合研究所(編)]
73.[学校では教えてくれない日本史の授業(悪人英雄論)/井沢元彦]
74.[フィンテック革命の衝撃/藤田勉]
75.[仮想通貨とブロックチェーン/木ノ内敏久]
76.[マレーシア新時代(高所得国入り)/三木敏夫]
77.[昭和史のおんな/澤地久枝]
78.[アナザーフェイス/堂場瞬一]
79.[親子の肖像(アナザーフェイスØ)/堂場瞬一]
80.[虚報/堂場瞬一]
81.[バンダルの塔/高杉良]
82.[労働貴族/高杉良]
83.[木曜日にはココアを/青山美智子]
84.[つるかめ助産院/小川糸]
85.[テクノホスピタリティを世界へ/馬淵将平]
86.[危機にこそぼくらは甦る(新書版ぼくらの真実)/青山繁晴]
87.[日本国債(上) /幸田真音]
88.[日本国債(下) /幸田真音]
89.[戦いに終わりなしー最新アジアビジネス熱風録/江上剛]
90.[聯愁殺/西澤保彦]
91.[道頓堀川/宮本輝‎]
92.[眠りの森/東野圭吾‎]
93.[人生への恋文往復随筆/石原慎太郎・‎瀬戸内寂聴]
94.[祈りの幕が下りる時/東野圭吾‎]
95.[千年樹/荻原浩]
96.[父・丹羽文雄 介護の日々/本田桂子]
97.[ボトルネック/米澤穂信]
98.[とり残されて/宮部みゆき]
99.[笑ってる場合/原田宗典]
100.[ヘヴン/川上未映子]


(№100. コラム第100回記念「孫たちのための歴史戦」 おわり)


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